前田和子・第1話


シナリオパターン

折り紙になぜいろんな折り方があるのか、という質問の答えによって主な話が分かれる。

何であんなにいろんな折り方があるのかわかる?

  1. わかる→ふふっ、さすがね。
  2. わからない→[伊佐男と舞(夫婦編)]へ

ねえねえ、じゃあ、ちょっと皆に教えてあげてよ。何で、いろんな折り方があるのか……

  1. 誰かが研究したから→儀式に使われてきたからなの。[伊佐男と舞(兄妹編)]へ
  2. 何かの儀式に使われていたから()→そう、そうよ。[伊佐男神と舞]へ
  3. 折り紙で遊ぶ人が多かったから→[伊佐男神と舞]へ
  4. 実はわからない→[伊佐男と舞(夫婦編)]へ

伊佐男と舞(兄妹編)

昔、この村には伊佐男と舞という仲の良い兄妹がいた。木こりの伊佐男は山の風景を見たいと言った舞を連れて行ったが、舞は崖からあやまって滝の下の方へ落ちてしまった。茫然と崖を見つめる伊佐男だったがそのうち夜になり、帰ろうとすると舞にそっくりな女が現れた。

伊佐男は舞にそっくりな女を連れて帰るが、しとやかだった本物の舞に比べ、彼女は行儀が悪かった。それでも伊佐男は彼女を舞とし、平穏な日々を続けていった。

そんなある日、舞と舞の幼なじみの平太との婚約が決まる。平太は二人の思い出の花である百合を、結婚の儀式である折り紙の花として持ってくるが、この村の風習を知らない偽物の舞はそれを理解せず、伊佐男は改めて、彼女は舞ではないのだと思った。

婚約の儀式が行われた日、伊佐男はその雰囲気から逃げるように外へ出たが、そこで崖から落ちたはずの、ぼろぼろの服を身にまとった本物の舞と出会ってしまう。本物の舞は婚約式の間に飛び込むが、二人の舞に周囲は大パニックを起こす。

そこで伊佐男は……

  1. 汚れた舞を助ける→[取りつかれた娘]へ
  2. やっぱり引き下がる→[血を吹く舞]へ

取りつかれた娘

偽物の舞は物の怪として伊佐男の父に刺されてしまう。殺された舞の傷からは白い煙のようなものが広がり、その顔は見たこともない娘のものになった。彼女は物の怪ではなく、ただ取り付かれていただけのようだ。殺された娘は地中に埋められ、本物の舞は湯につかり休んだ。

その夜伊佐男の枕元に舞が現れ、「もし神様がいるなら、魂を清めてほしい人が二人いるの」と言った。自分は滝に落ちて水の中の石に額を打って死んでしまったのだという。舞の額から石が現れ、伊佐男はその石を握りしめると自分の眉間を打ちつけた。

翌日、父が伊佐男の部屋に入ると、そこには眉間に傷をつけた伊佐男が血みどろでうめていた。舞はいなくなり、舞のふりをして殺された娘を埋めたところは掘り返され、赤い着物のすそが切り取られていた。

言い伝えによると舞の霊が折り紙で作った船を二つ流し、一つには石、もう一つにはきれいな赤い着物の切れっ端をのせ「悪いことをした。悪いことをした……」と呟いていたという。(次の人の話へ)

血を吹く舞

汚れた舞は物の怪として父に殺されてしまい、死体は地下の倉に閉じ込められた。

その夜、伊佐男は父に地下の倉にこいと深夜に起こされた。地下に行くと、舞の死体から噴水のように血が噴き出されており、伊佐男はその血を浴びると溶かされてしまった。舞は伊佐男の父を睨み、「お父さんへの復讐は、わたしの正体を教えることね」と言ったが、父が睨みかえすと舞は砂が散るように溶けてしまった。

翌日、偽物の舞はふらりとどこかへ行ってしまい、村の者が声をかけると、しっぽが割れたキツネの姿になって逃げてしまったという。

後に伊佐男の父は舞のことを悔やみ、三途の川を無事に渡って欲しいと願い、墓に折り紙で小さな船をつくってそなえたそうだ。(次の人の話へ)

伊佐男神と舞

折り紙とは「降り神」という意味をかけた言葉であり、この村の神である伊佐男神の生けにえを要求する手段として使われていたのだという。

儀式をしていた三代目の巫女である舞は伊佐男神のお気に入りで、伊佐男神は生けにえで得たものを舞へプレゼントするつもりで舞の社へ置いていったが、村の者は舞が生けにえを自分でもっていってると誤解してしまった。

こんなことない?自分が思ってもないことを、人にいわれたりするの。

  1. ある→でも、誤解させたままじゃだめよ。いいたいことは、きっぱりいわなきゃ。
  2. ないと思う→[自殺した舞]へ

村人は、舞の神託がはずれたから、伊佐男神が怒って生けにえを返しにきたのだと結論づけた。伊佐男神は舞をよく思っていることを知らせるために舞の形をした折り紙を作ったが、村人は伊佐男神が怒って人間の生けにえを選んだと思って舞に責任を取るようつめよった。

こんな時、抵抗する?

  1. 抵抗する→[首をもがれた舞]へ
  2. しない→そんなのだめよ。自分を犠牲にすればいい、なんて考え方は嫌い。

そんなんじゃ、命がいくつあっても足りないでしょ。

  1. そうかも→[首をもがれた舞]へ
  2. そんなことない→「あらそう。じゃあ、この部屋で何かが出たら、犠牲になってもらおうかしら」主人公は本当に何かの犠牲になってしまう。(ゲームオーバー)

自殺した舞

村人に完全に誤解された舞は巫女の座からおろされ、それに怒った伊佐男神は天災を起こした。舞はこっそりと神託をしたことで伊佐男神の気持ちに気づくが、伊佐男神が怒りにかまけて起こした天災で何人もの村人が亡くなったことを自分の死で償うため、自殺をしてしまった。それから伊佐男神は生けにえを要求しなくなり、人々を天災から守ったが、毎年舞の命日だけは雨が降るようになった。(次の人の話へ)

首をもがれた舞

伊佐男神は舞が喜ぶようなものを見せてあげ、それを折り紙で表現して舞に思いを伝えようとした。しかしそれも誤解に終わり、伊佐男神が舞と自分を模して折った人型を、舞は自分ともう一人の男の生けにえを求めているのだと思い、自分と弟の平太と二人でたんざく山へやって来た。伊佐男神は平太を舞の恋人だと勘違いし、舞の首を持って行った。(次の人の話へ)

を通っていると、伊佐男神が婚姻の縁神様として祭られるようになった、という後日談が追加される。

伊佐男と舞(夫婦編)

※このシナリオになると、最後に石を捜すかどうかの選択肢が出る

この村では罪人の呪いを避けるため、死刑になった罪人の家族が折り紙の船に石を入れて流す儀式があったという。

昔、伊佐男と舞という夫婦がいたが、伊佐男は他の村からやって来た流れ者であり村人は伊佐男のことをあまりよく思ってなかった。ある日、伊佐男が折り紙の船を流しているところを平太という村人が目撃し、それを村中に吹聴する。伊佐男がなぜそのようなことをしたのか気になる舞。その日の深夜、平太が帰ってくると、いろりに火が残ったまま舞はいなくなっていた。

「舞はどこにいるんだろう。火をつけっぱなしにして……」

  1. トイレを捜す→舞は真っ青な顔をしてトイレに壁に手をついていた。
  2. 寝所を捜す→[赤い着物]へ

舞は単に気分がすぐれなかっただけだったが、伊佐男が何かしたのだと誤解した平太は、村人とともに伊佐男を連れて行った。伊佐男と平太、村人達はとっくみあいとなり、そのあげく伊佐男は頭を強打して死んでしまった。

舞は翌日、処刑台の上で死んでいる伊佐男を見つける。平太が、伊佐男が罪を犯したから処刑した、ということにしようとしたのだ。舞は平太に抗議しようと家に行くが、平太は舞に細長い石を握らせ、それを折り紙の船に乗せて川に流せと言う。

その石は、伊佐男の眉間を打った石だった……。

  1. ひどい!→[赤子を背おった女の霊]へ
  2. それもまた運命→[平太を殺す舞]へ

赤い着物

舞はいろりの部屋にいた。舞が伊佐男になぜ折り紙の船を流したのか聞いてみると、伊佐男は舞の首に手をかけた。伊佐男はよその村で盗みを働いて暮らしていた罪人だったのだ。舞を殺した伊佐男は金目のものを捜し、舞の赤い着物を風呂敷に包んで外へ出た。すると舞の様子を見に来た平太がいたため、伊佐男は赤い着物を着て舞のふりをして彼に近付いたが、なぜか声までが変わってしまい、思ってもいないことが口に出てしまう。平太と二人でいろりの部屋に入り、平太があかりをつけると、そこには赤い着物ではなく血だらけの舞を背おっている伊佐男がいたのであった。

伊佐男は眉間を石で打たれ、罪人の弔いをうけることになった。舞の赤い着物はお寺におさめられたが、時々夜中に姿を消し、戻ってくるとお寺の床がぐっしょり濡れているのだという。

話が終わると、和子は伊佐男を打った石と似た石を小さい頃河原で拾い、仏壇に入れてあるという。

赤子を背おった女の霊

舞は泣く泣く語った。伊佐男が折り紙の船を流したのは、これから生まれる子供の無事を祈るためだったんじゃないか、と。願いことを書いたタンザクを川に流すといっていたらしい。

村が違えば習慣も違う。

伊佐男の眉間を打った石は平太によってお寺におさめられ、舞は毎日お寺に通ったが、そのうち村を離れどこかに行ってしまった。

そして、しばらく後、いつしかこの村の川には赤い着物を着て赤子を背おった女の霊が出るようになったという。その霊は拳を石のようにかたく握りしめ「次は誰を打ちましょうか……」とつぶやくらしい。

話が終わると、和子はこの家に伊佐男を打った石が仏壇にあるのだといった。

平太を殺す舞

舞は伊佐男の魂を弔うために、折り紙の船じゃなく、もっと頑丈なものを作ると言った。

その日から平太は行方不明になり、数日が過ぎて、舞が伊佐男の魂をいさめる儀式の日がやってきた。しかし約束の時間になっても舞が現れず、村人達がどうしようかと考えあぐねていると、川上から手足をつっぱり船のような格好をした平太が流れてきた。その眉間には細長い石をつきさされて。舞は川に身を投げ、川には舞の怨霊が出るようになった。

話が終わると、和子は伊佐男を打った石と似た石を小さい頃河原で拾い、仏壇に入れてあるという。

★仏壇の中を捜してみる?

  1. 捜す→石を見つける(次の人の話へ)※隠しシナリオへ
  2. やめておく→石は無くなっていた(次の人の話へ)

隠しシナリオへ

伊佐男と舞(夫婦編)]で話を終わらせ、最後に石を「1.捜す」とすると、[隠しシナリオ・石の話]へのフラグが立つ。

登場人物

伊佐男 (グラフィック有り)
シナリオによっては舞の兄だったり、夫だったり、神だったりする。
舞 (グラフィック有り)
シナリオによっては伊佐男の妹だったり、奥さんだったり、巫女だったりする。
平太 (グラフィック有り)
舞の幼なじみ、もしくは弟という設定。幼なじみの場合、舞に想いを寄せている。

Last modified:2012.7.21.
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