良夫が去年、林間学校へ行ったときの話が語られる。
《1》初めの日、オリエンテーリングがあったんだ。やったこと、あるだろ?
《2》そういや、泳げるんだっけ?
《3》もう少し進むと小さなほこらを見つけたが、白い紙テープのようなもので開かないよう留められていた。
なんだか、すっごく怪しいと思わないか?
《4》怪しく思った良夫はテープを引っ張ったが、思ったより抵抗があった。でも途中でやめるのも気持ち悪いし。
そういうの、わかるだろ?
《5》最後の夜になり、二組に分かれて怪談をするか肝試しをするか決めることになった。
どっちを選ぶ?
良夫がテープをはがすのはやめようと、上からなでると、テープは落ちてしまった。するとほこらの扉が開き、中から小さなドクロが飛び出してきて、良夫の胸の中に入ってしまう。良夫は体の自由がきかなくなり、足が勝手に湖の方へ向かっていった。足は湖の真ん中を目指してどんどん進んでいき、このままでは死んでしまう、と思った時、後ろから先生に助けられ、安心した良夫は気絶してしまった。そして気が付くと、良夫が自殺しようとしていた、ということでまわりは大騒ぎに。
この俺が、自殺しそうに見えるのかって。
消灯後に良夫達はこっそり集まり、三階の布団部屋で怪談を始めた。
早速、一人が話し始めたんだ。そいつがどんな話をしたか、聞きたい?
怪談をしていると、窓ガラスに手形が次々につき始め、怖くなった良夫達は布団部屋を飛び出した。そして、肝試しに行ったグループがまだ帰っていないことに気付く。先生を起こそうとしても全然起きないため、良夫達は宿舎を出て探しに行くことに。湖の方へ向かうと、後ろから首のない赤いワンピース姿の女がついてきたので、全速力で逃げ出す良夫達。
ところで、俺がオリエンテーリングのとき、どこに行ったか覚えてる?
《A》じゃあ、そのとき俺は、どっちに行ったっけ?
《B》道を左に曲がった良夫達は、道の脇にあった古い小屋の中へ逃げ込んだ。あわててドアを閉め、さびついたカンヌキを引っ張るが、もう少しのところで動かない。
あきらめは悪い方?
《C》良夫は全身の力でカンヌキを引っ張ったが、ドアがものすごい勢いで開かれ、首なし女が入ってきた。
俺と同じ立場だったら、どうする?
湖を右へ曲がった良夫は、何かに足が引っかかり倒れてしまう。頭上から笑い声がして見上げると、生い茂る大木の枝の間から、けたけたと笑い続ける大きな人の頭が落ちてきた。良夫は気を失ってしまい、目が覚めると先生に揺さぶられていた。一緒にいた友達もみんな倒れ、肝試しに行った三人はそのまま行方不明になったらしい。きっと首ない女や首のなる木に捕まったのだろう。良夫達の学校では今年から林間学校がなくなってしまった。(次の人の話へ)
良夫はカンヌキをかけるのをあきらめて、物陰に急いで潜り込むことにした。ギリギリのところで扉が開き、首なし女が入ってくると、女は良夫を友達の首をひきちぎり、その頭を自分の首に乗せ、小屋から出て行った。次の日良夫達は発見されたが、他のクラスメイトたちも首を引き裂かれた状態で見つかり、彼らは大型動物に襲われたということになった。今年から林間学校の場所は変わるらしい。(次の人の話へ)
良夫が転んだショックで古いクーラーボックスのフタが壊れ、中から女の生首が転げ出た。良夫がパニックを起こして生首を首なし女に投げつけると、女は首を拾い上げ、小屋から出て行った。
(※3を通っていない場合)次の日良夫達は先生に見つかり怒られたが、生きていられたことに感謝する。いなくなった三人も同じ小屋で隠れていたらしく無事であった。後に聞いた話によると、昔ボートに乗ってた女の人が、湖に落ちたところをモーターボートに突っ込まれ、首がもげて死んだ事件があったらしい。(次の人の話へ)
(※3を通っている場合)良夫が小屋の外に出てみると、もう誰もいなかった。助かったと思い小屋の中へ戻ると、一緒に隠れていたはずの友達がみんな首を切り取られ倒れていた。(次の人の話へ)
良夫が転んだショックで古いクーラーボックスのフタが壊れ、中からスパナが転げ出た。良夫はそれを握りしめ、首なし女に飛びかかったが、腕を捕まれ抱き寄せられる。耳元で「首をおくれ……」という声を聞いたような気がすると、そのまま良夫は気絶した。気が付くと朝になっており、いなくなった肝試し組の友達も小屋の中で寝ていたらしい。
話が終わり、主人公が良夫の横顔を見ると、良夫の首にまっすぐな横一文字の傷があるのを見つけた。(次の人の話へ)
消灯後に良夫達はこっそり集まり、肝試しをすることになった。女子の一人が森の真ん中にある古い塚へ行くことを提案し、しばらく森の中を歩いていると、それらしきものを見つける。そして、女子が塚の表面を触ると、頭から血を流した侍の幽霊が現れた。侍はざんばら髪で、着物はボロ切れのように裂けており、開かれた目の中には瞳がなかった。
(★を通っていない場合)侍は腰の刀を抜き、見えない敵に向かって刀を振り回し始め、やがてゆっくりと消えていった。次の日、肝試しに行った全員がそろって熱を出し、地元の病院に入院した。その時に良夫が聞いた話によると、あの塚は昔の古戦場跡だったらしい。瞳のない侍は、自分が死んだのも気付かないで毎晩戦い続けているのかもしれない。(次の人の話へ)
(★を通っている場合)侍は女子の腕をつかむと「見つけた……やっと見つけた……」と嬉しそうに、にたーっと笑った。女子は暴れて逃げようとしたが、金縛りにでもあったのか、全然動けない。
確か金縛りって、解く方法があったよな。どんなのだっけ?