鈴木由香里・第2話を[人柱の儀式]の話で終わらせ、3話目に前田良夫を選択すると出現する。なお、3話目に前田和子を選択した場合は、[隠しシナリオ・前田和子]が出現する。
選択例:
「1.聞きたい」→「2.いいえ」→「1.欲しい」→「3.どっちも嫌だ」→「1.ある」→「1.親に見せた」→「1.かっちゃんを叱る」→「2.刃物で斬られた跡があった」→「1.神様へのお供えだった」
良夫はさっきの由香里の話とよく似た話を知っているという。
で、その話したいんだけど、いい?
良夫は友達から聞いた、悪魔みたいな赤ん坊の話を語り始める。
なんで、そんなちっこいのに『悪魔』なんて呼ばれたと思う?
悪魔のような赤ん坊は、人間とは思えないような容貌をし、時には両親を殺そうとするような残酷な事を平気でしていたが、家の人たちは、なぜかそれでも大切に育てていたという。ある日父親が庭の手入れをしていると、赤ん坊が父親の頭上にプランターを落とそうとして、誤って自分も落ちてしまう。赤ん坊が息を引き取ると、その体はどろどろに溶けていったが、両親はその溶ける肉や骨をほとんど食べ尽くしてしまった。
なんでも、ある呪術を使うと悪魔のような外見と心を持った赤ん坊が生まれてくるのだが、その赤ん坊が長生きすることはなく、死んだときにその肉や骨を食べると、若返りの秘薬となるらしい。赤ん坊の両親は、はじめからそのつもりで育てていたのだろう。(次の人の話へ)
実は良夫の家でも、良夫がまだ小さかったときに子守のバイトを頼んだことがあったらしい。しかし、良夫はそのときのことをあまり覚えてないという。すると正美が、催眠術をかけてみましょうか、と提案してきた。
どうしよう。確かに、素人の催眠術なんて、危ない気がするけど。
正美が催眠術をかけると、良夫は子守をされていた頃のことを語り出す。子守のお姉さんは子供が嫌いなのか、和子が見ていないときに、良夫に対してひどいことをしていたらしい。ある時、良夫は子守のお姉さんに、小鳥のカゴの前へ連れて行かれたのだが……。
目をつむったままの、良夫の顔が曇った。ちょっと苦しそうに見えるわ。どうしよう?
なんて、話しかければいいのかしら?
お姉さんは微笑みながら小鳥を握りしめて殺してしまった。それを見た良夫は、とても楽しいことをしているように見えたので、マネして小鳥を握りしめて殺すと、お姉さんは良夫をほめた。それから二人は動物に残酷なことをするようになったという。
まだ小さい俺じゃあ、手を出せないような獲物も、捕ってきてくれたしさ……。
子守のお姉さんはカゴから小鳥をつかみ出すと、握り殺してしまった。そして、小鳥から出てきた白いモヤのようなものを食べてしまったという。おそらくその白いモヤは動物たちの命で、人間が牛や魚を殺して食べるように、お姉さんはモヤを食べていたのだろう。ある日、良夫とお姉さんが駅前を散歩していると、バスの事故に遭遇してしまい、中の人たちが大勢亡くなったのか、数え切れないほどのモヤがお姉さんの口に流れ込んできた。お姉さんははじめ嬉しそうにしていたが、モヤの洪水は終わることがなく、ついにお姉さんの姿は崩れ落ち、消えてしまったという。(次の人の話へ)
獲物は鳥や猫などいろんな種類を試したという。ある時、子守のお姉さんは、良夫のおばあさんが飼っていたペスという犬にかみつかれ、落ちてたマキで何度も殴りつけた。良夫が泣いていると和子がやってきて、ペスを家の中に運び込むと、包丁を突き立て心臓をとりだし、良夫に持たせた。和子は、あの子は悪魔の子、前田本家に逆らうつもりなら、その覚悟はできているはず……、と子守のお姉さんを連れてきて、良夫にペスの心臓をなすりつけさせたのだ。そして、気絶したお姉さんを担ぎ上げると、お供えが手に入った、これを『おふるど様』に捧げれば良夫が跡取りになるのに役立つ、といったらしい……。
ここまでの話は、先ほどの由香里の話とあまりに似ている。
私たちは、由香里姉さんを見た。
当時、主人公の父親が入院している間に本家に預けられていた主人公と、良夫、子守のお姉さんは三人でよく遊んでいたという。その頃、家の離れにトモさんという男の人がいたが、彼は良夫達の残酷な遊びを止めようとしたため、三人はトモさんを倉の中に閉じ込めて火をつけたのだというが……。
和子によると、子守を頼んでたのは近所の子だったが、その火事の後しばらくしていなくなってしまったらしい。
私は……私は…………。