由香里がある占いショップでバイトして時の話が語られる。
《1》マザー・アンジュっていえば、名前くらいは聞いたことあるんじゃん?
《2》聞いたことあるの?ないの?どっち?
《3》みんなってさぁ、テレビや雑誌みてないんじゃん?それとも、占いなんて興味ないの?
《4》絶対、占いに興味あるはずだよ。私がそう思うんだから、間違いないね。
《5》マザー・アンジュのオカルトショップにも、けっこう危険なアイテムが並んでたよ。それは……。どんなものだと思う?
《6》いくつか名前を出すなら……。ローズクォーツとか…タイガーアイとか…クリスタルとか…あとはラピスラズリ…。わかった?
《7》じゃあ、答えてごらんよ。
《8》パワーストーン、持ってる?
《9》欲しいとも思わない?
由香里のバイトするオカルトショップの、パワーストーンのコーナー中央には、ダチョウの卵くらいの大きさの青い石が置いてあった。マザー・アンジュがいうには、その石は邪を祓い幸運を呼び込む守り神様みたいなものなのだという。
しかし、ある日その石は割れてしまい、断面からどす黒い煙のような物を吐き出した。
石は『邪念を祓って幸運を呼ぶ石』ではなく『悪いモノを吸い取ってくれる石』だったのだ。ショップ内に残された悪いモノを吸い取るだけ吸い取り、ついに限界に達して割れてしまったのだろう。由香里はバイトを辞め、その店には近づかないようにしているらしい。(次の人の話へ)
オカルトショップで販売していたのは紙製の呪詛人形で、マザー・アンジュは占いで良くない結果が出た人のストレス解消のためにその人形をすすめていたのだ。この人形はあっという間に人気商品となり、マザー・アンジュが一人で作るだけではとても注文に追い付かなくなったため、由香里も人形作りを手伝わされることになる。
そんなある日、ショップに由香里宛の一通の手紙が届いた。
《A》この手紙、いったい何だったと思う?
《B》で、書いたの?何って……?不幸の手紙を……だよ。
《C》手紙を止めちゃった人は、不幸になるんだから……。
《D》手紙には感謝の言葉がいっぱい書かれていた。由香里の作った呪詛人形のおかげで呪いが成功したのだという。その後、由香里の元には同様の手紙が次々届いたが、マザー・アンジュの人形を買った人からは何の連絡もないため、二人の間には妙な緊張感が漂うようになってしまった。
こういう状態を昔からある言葉でさぁ……。ほら、何ていうんだっけ?
《E》ほら……、あれだよ。ハリネズミ……じゃなくって、ハリのムジナ……?違うなぁ……。
手紙の差出人は主人公と同じくらいの女の子で、ショップで由香里のことを見かけて一目惚れしたらしい。その子はショップで買った呪詛人形に由香里の名前をつけて可愛がっていたようなのだが、やがて空想の世界と現実の世界の境がわからなくなっていき、熱烈なラブレターが毎日束のように届くようになった。そのうちに、由香里の周りでは奇妙なイタズラが増え出す。やがてそのイタズラは徐々にエスカレートしていき、ついにはショップの常連客が階段から突き落とされるという事件が起こった。もちろん、イタズラの犯人は手紙の差出人である。その常連客が由香里と会話していたことに嫉妬して、やったことらしい。怖くなった由香里が彼女に断りの手紙を書くと、しつこかった手紙はプッツリと途絶えた。
私のこと、あきらめてくれたのかなぁ……?
顔色のよくない由香里に声をかけると、主人公の頭の中に、怒りのこもった女の子の声が響いた。
〈私の由香里お姉様よ……!!〉
(次の人の話へ)
ある日、マザー・アンジュ宛に彼女が作った呪詛人形を買った人からのハガキが届いた。それを読んだ時からマザー・アンジュは人前に姿を見せなくなり、ずっとプライベートルームにこもりっきりになってしまう。
精神的に疲れてきた由香里がバイトを辞めようかと思い始めた頃、ショップを閉めて帰ろうとする時に、白い衣をまとった女の人が暗い路地を駆け抜けて行くのが見えた。追いかけてみると、見知らぬ林の中に迷い込んでしまい、その女性が丑の刻参りをしているのを目撃してしまう。恨みのこもった念のようなものが押し寄せてくるのを感じた由香里は、以前マザー・アンジュからもらった御守りを握り締めた。すると、御守りが熱を持ち始め光を放ち、丑の刻参りをしていた女性が振り返った。
女性はマザー・アンジュだった。
マザー・アンジュは、がっくりと膝をついて動かなくなったと思うと、身体が霧のように飛び散り消えてしまい、あとには由香里の名前が書かれた呪詛人形と、五寸釘だけが残った。
由香里は話し終えると、その時の御守りを取り出した。
もしかしてこれが欲しいの?
[丑の刻参り]で話を終わらせ、最後に「2.欲しくない」を選択すると、[隠しシナリオ・石の話]へのフラグが立つ。