前田良夫・第4話を[狙われた良夫]の話で終わらせ、5話目に藤村正美を選択すると出現する。(ただし、最初の選択肢で「1.好き」を選んでいること)
選択例:
「1.好き」→「2.本当は好きだったんじゃないかと思う」→「1.胸」→「1.いいたいことは、わかるけど……」→「2.もらって誰かにやる」→「1.階段」→「3.白」→「2.絶対に頼まない」
正美は今の良夫の話を聞いて、思い当たることがあるという。
《1》良夫君の話に出てきた女の子、何という名前でしたかしら?
《2》それでは、園部さんが救急車で運ばれていったわけは、何でした?
《3》……そうでしたか?本当に?
《4》何ヶ月か前に、正美の病院に園部という少女が転院してきたという。運び込まれた園部は沈み込んでおり、正美は彼女の話し相手になってあげた。すると園部は、自分の中には気が強くてわがままなもう一つの人格がいることを打ち明けた。園部が新しい学校で、ある一人の少年を好きになるまでは、うまくやっていたというのだが……。
園部さんがいっていたのが誰のことか、見当がつきますか?
《5》本当についたのですね?
《6》『ミドリ』と呼ばれていた園部の中のもう一つの人格は、園部が自分以外の誰かを気にかけるのが面白くなく、園部を困らせ続けていた。ある時、ミドリは園部を悲しませるために、校庭で飼っている小鳥を殺し、羽根をむしったのだが、その時、ある意外なできごとがあった。
何だかわかりますかしら。
《7》駆けつけた少年に驚いて、ミドリと園部は入れ替わった。パニックをおこした園部は泣き出すが、少年が側で黙って立っていてくれたため、彼女はさらに少年への想いを募らせる。次の日、ミドリは犬を連れてウサギ小屋の中を襲わせ、それを見た少年も襲わせようとしたが、園部があわてて犬を呼び戻したという。
ここまでの話を聞いて、その少年が誰だか、見当がついたのじゃありません?
《8》本当についたのですね?
《9》園部は次の日、調理実習で少年へのプレゼントを作ろうとしたが、またしてもミドリに邪魔をされ、ガラスのかけらをカップケーキの中に押し込まれ、それを少年に押しつけた。
その少年は、カップケーキをもらってくれたと思います?
《10》少年はカップケーキをもらってくれたが、食べたのは彼の友達だった。そしてガラスでのどを切り血を吐いた友達を見て、少年は園部を追いかけ、屋上で園部とミドリの意識の乗っ取り合いがはじまり、結局園部は屋上から落ちてしまったのだという。
ここまで話せば、もうわかりましたわよね?園部さんの好きな少年というのが、誰のことだか……。
《11》入院した園部は良夫に誤解されて悲しんでいた。正美が慰めようと彼女の肩を抱くと、突然豹変した園部がその手を振り払う。正美が「あなた、ミドリちゃんですの……?」というと、「違うわ、私は薗部茜。ミドリは、あいつよ!」と叫んできた。やがて、正美の目の前に白い霊体が現れる。体の持ち主である彼女と、悲しげに漂う霊体と、どちらが茜でどちらがミドリなのか?
どちらがミドリちゃんなのか、わかります?
《12》気の弱い、やさしいミドリは、本来の体の持ち主である茜には逆らえなかったのだろう。
問題はもう一つ、残っていますわよね。
《13》もう一つの問題とは、どんなことかしら。
《14》でも、生きたい気持ちは両方とも同じはずなので、どちらかを選ぶなんてできない。
そうでしょう?
《15》霊を操る力を持っている正美は、霊魂を体から引き離して消すことができたが、どちらを消すか悩んでしまったという。
あなただったら、どうします?
正美の病院の入院患者に、渡辺という若い男の人がいた。彼は不眠を訴え、「俺の夢を、誰かが盗んでいる」と、おかしなことをいいだすようになる。やがて、病室中をまわり、自分の夢を盗んだんだろう、と他の患者に聞いて歩くようになったため、医者がそれを止めに入ると、渡辺は隠し持っていたナイフで医者の胸を刺してしまった。
渡辺は特別病棟に移ることになったが、そこで調べてみると、渡辺にはレム睡眠期がなかったらしい。(次の人の話へ)
正美の担当していた患者に、村岡という働き盛りの男の人がいた。彼は過労で入院したのだが、一刻も早く退院して仕事に復帰したがっていたという。ある日村岡は消灯後、急に仕事のことを思い出し、部下に電話を入れようとした。
そんな時間に電話をすること自体、信じられませんわよねえ。
園部は、小鳥を殺す現場を好きな男の子に見られてしまっていた。園部の姿のミドリは校舎の屋上まで逃げだし、怒った少年はその後を追いかけた。そして屋上の端まで来ると、ミドリは少年に抱きつき一緒に飛び下りてしまったのだ。
ここまで話すと正美は口をつぐんだ。そして「良夫君……あなたはもう、死んでいますの。早く気づかないと、成仏できなくなりますわよ」というと、良夫の姿は消えてしまった。(ゲームオーバー)
性格の悪い方が本物なんて信じられなかった正美は、体の持ち主である茜の首を締め上げた。やがてその体からミドリと思われる白い霊体が抜け出すと、茜の霊体に体に戻るようにいった。そして、体を乗っ取ろうとしたミドリの魂は、正美が処分しておいたという。
私に間違いはないので安心してください、と良夫にという正美。今度会うときは、園部茜はやさしくて明るい、いい子になっているだろう、と。(次の人の話へ)
おかしなことを気にしますのね、と正美にいわれる主人公。気がつくと、みんなニヤニヤして自分を見ていた。良夫は赤くなっており、みんなは次々にひやかしてくる。無性に腹が立った主人公は、怖い話などもう聞かなくてもいい、と部屋を出た。(ゲームオーバー)
正美は看護婦として、生きたい気持ちを尊重する義務があると思ったが、肝心の肉体が使えなくなっては仕方ないので、ある方法を思いついたという。
不意に乾いた音がして話が中断すると、正美が襖を開け、そこに立っていたフランス人形を抱き上げた。「さっきいった方法ですけれどね、魂って、器がありさえすれば長持ちするものですのよ……うふふ」
まさか、人形の中に、女の子の魂が入っているなんて、そんな馬鹿なこと……。(次の人の話へ)
いくら性格が悪くても、茜の体をミドリに譲るわけにはいかない、と正美はミドリの霊を消した。
主人公が「どうやって消したの?」と声を震わせて聞くと、正美は「私は霊を操れる女……そして、自分の力にもできるのですわ」と、手を握ってきた。その途端、正美のまわりに無数の白いモヤが見え、手を払うと見えなくなった。正美は霊魂を集めているのだろうか?(次の人の話へ)
性格のいいミドリが、自分の体がないというくらいで消されてはかわいそうだ、と正美は茜の首を死なない程度に締め上げた。そしてミドリに茜の体に入るよう促し、入れ替わりに現れた茜の霊体を両手でつぶしてやったという。
正美が話し終えると、ふすまの向こうからギラギラ光る、憎しみに満ちた目が見えたが、正美は手刀でそれを断ち切った。「嫌ですわねえ、しつこくて。いくら散らしても、きりがないんですもの」と笑う正美。(次の人の話へ)