《1》昔、自分が川につれていってやったこと、覚えてるかい?
《2》じゃあ、その時一緒にいた良夫君を突き落としたのも、覚えてないの?
《3》哲夫は何年か前、後輩四人を連れて沢登りに出かけたという。
どうだい?おもしろそうだろ?
《4》哲夫達は沢登りの最終日、河原のようなところでテントを張りキャンプをすることに。哲夫がテントで眠っていると、外から人の話し声が聞こえた。もう一つのテントにいる三人が話をしているのだろうか。哲夫も話に参加しようと思ったが、よけに目が覚めてしまう気もした。
どうする?
《5》哲夫は布団に戻ったが、なかなか寝付けない。すると、また人の声が聞こえてきた。
もう一度外に出てみる?
《6》しばらくすると、また外から人の話す声が聞こえてきた。ここは、注意した方がいいかな?
霧の中に人影があったが、声をかけようとすると消えてしまった。恐ろしくなった哲夫がテントに戻ろうとすると、血だらけの男女三人の霊に遭遇する。哲夫は気を失ってしまい、気がつくと同じテントに寝ていた藤澤に抱えられていた。哲夫がさっきの出来事を藤澤に話すと、どうやら彼も三人の霊に気付いていたらしい。
テントに戻った哲夫が再び眠りにつくと、テントが雨で増水した川に流される夢を見て目を覚ました。どうしてそんな夢を見たのか不思議に思ったが、まだ夜が明けていないため、もう一眠りしようと布団に潜り込むと、今度はテントを叩く音が……。
《A》自分はどうしたと思う?
《B》哲夫はテントの中に戻るのが怖かった。どうする?
《C》テントの外には無数の火の玉が飛んでいたため、哲夫はテントの中に舞い戻った。やがてテントを叩く音は収まったので、もう一度藤澤を起こそうとすると、外に三人の人影が映った。その人影はテントの周りを走り周りながらテントをばしばしたたき始めるが、藤澤は相変わらず起きない。そこで哲夫は必死になってお経を唱え始めた。
どうなったと思う?
《D》布団にもぐって寝ようとした哲夫はおかしな事に気がついた。寝息が二人分聞こえてくるのだ。一つは藤澤から、もう一つは自分の隣から。テントには哲夫と藤澤しかいないはず。気になった哲夫は自分の隣を見てみた。
自分は、何を見たと思う?
《E》哲夫はもう一つのテントに行き、藤澤がいないことと幽霊がでたことを話した。
そいつら、信じたと思うかい?自分の話を。
哲夫の生半可なお経じゃどうにもならず、テントをたたく音はますます激しくなっていった。そんな時、後ろからもお経が聞こえてきた!
こんな時後ろを見る勇気があるかい?
哲夫は布団の中に頭をつっこんで、必死に耳を押さえた。するとテントを叩く音も止み、お経も聞こえなくなった。
実は哲夫の後ろで聞こえていたのは藤澤が唱えていたお経だったのだ。藤澤は金縛りにあって動けずにいたのだが、哲夫のお経で金縛りが解けたらしい。藤澤は塩でテントを清め、それからは何事もなく朝を迎えることができた。
家に帰ってから藤澤にテントが流された夢のことを話すと、あの霊達はあの場所で増水した川に流されて死んだ人の霊で、夢で自分達が死んだときの状況を伝えたかったに違いない、といった。(次の人の話へ)
哲夫の生半可なお経じゃ意味が無く、テントをたたく音はますます激しくなっていった。頭がどうにかなりそうになった哲夫は、抵抗するために、逆に内側からテントをたたいてやった。やがてテントはつぶれてしまい、布の下敷きになった哲夫が外に這い出ると、そこには血だらけの幽霊が哲夫を見下ろしていた。その後、哲夫は気絶してしまい、気がつくと仲間に手当てを受けていたという。
話がそこで終わると、哲夫は突然主人公の首を絞めてきた!しかし和子や泰明が押さえつけてくれたおかげで助かり、哲夫はそのあと気を失って正美に看病される。哲夫によると、こんなふうにわけがわからなくなることが、たまにあるらしい。そして、この前和弘おじさんに会ったときも……。(次の人の話へ)
哲夫の隣には誰もいなかった。哲夫が藤澤を起こそうとすると、哲夫と藤澤の間の床が濡れているのに気がつく。急いで藤澤を起こしてそのことを伝えると、藤澤は隣のテントに移ろうといった。そこで二人は隣のテントに移り、ぐっすりと眠った。
翌朝、哲夫がはじめに寝ていたテントの下から、若い男のものと思われる白骨死体が見つかり、河原からは男女二人の遺体が見つかった。きっと哲夫が見た夢のように、増水した川に流されて死んだのだろう。(次の人の話へ)
(※2を通っていない場合、以下の話が追加)この話を聞いたからって、沢登りに行かないなんていわないでくれよ、それから女の子なんだから自分とは別のテントで一人で寝るんだよ、と哲夫に言われる。
みんな哲夫の話を真剣に聞いたが、幽霊を信じない一人は藤澤を捜しに外へ出て行った。しかし彼はいつまでたっても戻ってこない。心配したもう一人も、二人を捜しに出て行ったが、案の定その彼も戻ってはこなかった。テントの中には哲夫と川村という男の二人が残されたが、川村もみんなを捜しに行くといいだし、結局哲夫と川村はみんなを捜しにテントの外へ出ることになった。すると、川の中で誰かが倒れているのが見えたため、二人は救助のため川の中へ。だが川村は何ものかに足をつかまれ、川へ流されてしまった。もしかしてほかの奴らも同じように引きずり込まれてしまったのだろうか。哲夫は恐ろしくなり、テントに戻って夜を明かした。翌朝、哲夫はおそるおそる川を捜してみたが、誰も見つけることはできず、一人で下山した。
哲夫はいまでも夢に見るという。水の中で、何かに足をつかまれる夢を。自分の足を引っ張っているのは、あのときの仲間らしい。(次の人の話へ)
(※2を通っている場合、以下の話が追加)あれから哲夫は何度も誘いを受けたが、沢登りには一度もいっていないという。
みんな哲夫の話を信じなかったが、川村という奴だけは信じてくれた。信じなかった二人は藤澤を捜しに外へ出てしまい、哲夫と川村はテントに残った。いつまで待っても出て行った二人は戻ってこなかったが、哲夫達はテントの外へ出る気はせず、そのうちに眠ってしまう。翌朝になって二人はみんなを捜しに行くが、どうしても見つけることはできず、結局彼等をおいて帰ることになった。
山から下りた後、警察に連絡して捜してもらうと、彼らは森の中で溺死体として見つかった。そして彼らの死体と一緒に、三人分の白骨死体も見つかった。あの幽霊は、その白骨死体の幽霊だったのだろうか。(次の人の話へ)
哲夫はしばらく眠っていたが、また目が覚めてしまう。外からはまだ話し声が聞こえてきたが、その中には明らかに女の声が混じっていた。外にいるのは自分の仲間ではない、と思った哲夫は気味が悪くなり早く寝ようとした。すると、哲夫のすぐ側で人の笑う声が……。
もう絶対に隣のテントの奴らなんかじゃない。どうする?思い切って見てみるかい!?
テントの入り口についているのぞき窓には、頭から血を流した三人の顔が映っていた。哲夫が急いで同じテントに寝ていた藤澤を起こすと、藤澤も三人の顔をみて震えだした。
こんな時、どうする?
藤澤がお経を唱えると、三人の幽霊は至福の表情になって消えていった。
(※2を通っていない場合)→(次の人の話へ)
(※2を通っている場合)→実はこの話には、まだ続きがあるんだが……。聞きたいかい?
哲夫がとりあえず適当にお経を唱えると、三人の幽霊は、スーッと消えていった。
この話には、まだ続きがあるという。
(※2を通っていない場合)
夜になると哲夫の住んでいるアパートの窓に、あの時の幽霊が映るようになり、それから哲夫がどこに行ってもついてくるようになった。
(※2を通っている場合)
哲夫が部屋に帰り、二、三日してから、妙に部屋が『ぎしぎし』となるようになった。しばらくは気にせずにいたのだが、ある日とうとう部屋にあの三人の幽霊が出現してしまう。幽霊の立っていた場所は、水が滴り落ちたようにびっしょりと濡れていた。それから毎日、幽霊はどこに行っても哲夫の前に現れるようになったという。