分岐によって[河合と真壁]、[吉村先生と足の幽霊]、[ライバル上杉の死]の三種類のシナリオに分かれるが、[吉村先生と足の幽霊]の話は最後まで進めると[河合と真壁]の話へつながるようになる。ゲームオーバーはない。
正美の病院に、河合さんという将来を嘱望されたバレリーナが両足を骨折して入院してきた。
河合さんは、とても難しい患者さんに見えました。あなたも、同意していただけるでしょう?
真壁のおかげで河合には笑顔が戻り、あとは回復を待つばかりとなったが、そんなある晩、河合は足だけの幽霊を目撃してしまう。
あなたがもし、こんな不思議な体験をしたら、どうします?
ある日、河合と同じバレエ団の上杉が河合を見舞いに来た。ライバルである上杉を見て、河合は悔しく思ったが、それを現わすまいと心に決めた。
次の日、河合は上杉が亡くなったという知らせを聞いた。河合を見舞った帰りに、駅のホームから線路に落ちたらしい。上杉の遺体の背中には足跡がついているのが発見され、誰かに蹴り落とされたのではないかと大騒ぎになった。しかし、その足跡は裸足であり、目撃者もいなかったという。やがて河合が上杉を突き落としたのでは、という噂が流れた。だけど河合は入院しており上杉を突き飛ばすなんてことはできるはずがない。
あなたも、そう思うでしょう?
足だけの幽霊が河合の病室へやってくると、彼女のギプスに重なって消えてしまった。足の幽霊にとりつかれた河合は屋上へ連れていかれ、屋上から落とされそうになる。河合が助けを求めると、声を聞きつけた真壁がやってきた。
愛の力って、偉大ですわね。あなたには、恋人がいるのかしら?
真壁が河合に向かって、ボルドー色の地に黒いリボンタイのついたパンプスを投げつけると、ギプスから足の幽霊が抜けだし、パンプスを履いた後、消えてしまった。残されたパンプスの中には奇妙な形の石が入っており、河合はそれを持ち帰ることにした。次の日から、病院に足の霊が出ることはなくなったという。
面白かったかしら?
真壁が塩を投げると、河合は足を抱えるようにして、のたうちまわり、真壁に飛びかかってきた。体当たりされた真壁は腐りかけたフェンスにぶつかり二人は投げ出されるが、真壁は土台部分にしがみつき、腕を伸ばして、落ちそうになる河合を捕まえた。
これも、愛の力というのものかしら。
真壁の悲鳴を聞きつけた人々が集まってくると、河合は泣き伏して、真壁がいきなり飛び降りてしまった、といった。
なぜ私が、真実を知っているのか、教えてあげましょうか?
河合の姿が普通じゃないと感じた正美は、その様子を黙って見ていたのだという。
あなただって、そういう立場になったら、私と同じ態度をとるでしょう?とりますわよね?
河合は担当の吉村先生に相談したが、吉村先生は「何かの見間違いでしょう。不安なら、次の当直のときに確かめてみましょう」と胸を叩いて笑った。
そして当直の日、吉村先生が夜の見回りに出ると、自分以外の足音が聞こえるのに気づいた。
《1》こんなことって、あり得るのかしら?
《2》それでは、どうして足音が、前や後ろから聞こえるんだと思います?
《3》足音の主は、どうも後ろから近づいてきているようだった。ひょっとしたら、吉村先生を追いかけているのかしら?
《4》怖くなった吉村先生は、近くの使っていない病室へ逃げ込んだ。それでも危険が去ったわけではない。悲観的な考え方をすれば、キリがないが。
あなたは、悲観的な方かしら?
《5》吉村先生が隠れると同時に、ドアから足の霊がすべり込んできた。足との距離は近づいてきている。
こんな緊張に耐えられます?
《6》足の霊は吉村先生の寸前で消えてしまったという。だけどこんな話、少しできすぎという感じもしますわよね。
あなたは、信じられるかしら?
吉村先生は沢山の足の幽霊に囲まれ悲鳴をあげた。その声を聞きつけて、みんなが駆けつけたときには吉村先生は倒れており、目覚めた先生は元の人格をなくしていた。
その後の噂によると、病院が建つ前、その土地には小さな工場があり、重労働を強制した経営者は逃げようとする職員の両膝の骨を砕いて寮に放り込んでいたらしい。職員達は次々と病気になり、やがて亡くなっていった。その怨念が残っていたのだろうか。(次の人の話へ)
追いかけられている、と感じた吉村先生は足を速め、先にあった非常口のドアを押し開けた。しかし、ドアの向こうには非常階段がなく、暗い空間が広がる真下には町並みが見えていた。そして吉村先生は何者かに背中を突き飛ばされ、落ちて死んでしまった。(次の人の話へ)
吉村先生はベッドの下に隠れたが、ドアからやってきた包帯で顔を隠した女に見つかり、心臓を奪われて死んでしまった。(次の人の話へ)
たまらなくなってカーテンから飛び出した吉村先生に、足の霊が取りつくと、窓ガラスを突き破り、病室から落ちて死んでしまった。それ以来、足音の正体を確かめようとする者はいなくなったという。(次の人の話へ)
[パンプスを投げる真壁]で話を終わらせ、最後の選択肢を「2.面白くなかった」とすると、[隠しシナリオ・石の話]へのフラグが立つ。